米軍基地も住民の総意なしには成り立たない
日本の国土面積のわずか0.6%にすぎない沖縄に、7割もの米軍施設が集中している。だれが見ても異常な事態だ。沖縄は米軍機の騒音や事故、それに米兵の犯罪に悩まされ続けてきた。にもかかわらず、私たちは沖縄の基地問題を真剣に考えてきたのだろうか。沖縄だけに米軍基地を負担させるべきではない。
県民投票の結果を受け、辺野古移設の問題だけではなく、日本国内の米軍基地の在り方、さらには日本の安全保障の将来までを考える必要がある。
「安全保障政策は政府の専権事項だから米軍基地の移設場所は政府が決めるものだ」との考え方がある。だが、それは大きな間違いである。安全保障は国民のためのものであり、日本政府のためにあるのではない。たとえ米軍基地といえども、国民である住民の総意なしには成り立たない。
この結果を無視するなら「国民投票」しかない
アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長による二度目の米朝首脳会談が開催されるなかで、「終戦宣言」によって朝鮮半島をひとつにまとめようとする動きが出ている。中国も国力を蓄え、経済、軍事の両面でアメリカに対抗している。
そうなると、日本は安全保障上、どう動けばいいのだろうか。このままアメリカに追従していくだけでいいのだろうか。早急に方向性を見いださなければならない。
これまで日本は軍事面でアメリカにすがって戦後の経済成長を成し遂げた。それはしたたかで、合理的なやり方だった。しかしこれからはそうはいかなくなる。
トランプ政権を見ていれば分かるが、内政も外交もアメリカはその国力が衰えつつある。それゆえトランプ氏はアメリカ第一主義を掲げるのだ。だが、アメリカ第一主義が成功するかは、かなり不透明である。
日本は独自の安全保障政策の道を探っていく必要がある。そのためにも私たち国民ひとり一人が米軍基地の在り方や安全保障の問題をしっかり議論していくべきだ。
辺野古移設の是非は沖縄だけの県民投票でなく、本来「国民投票」という日本のすべての国民の判断で決めるべき問題だ。これ以上、安倍政権が県民投票の結果をないがしろにするならば、関係法案を整備して国民投票を実施すべきである。