初心者は一人ではなく仲間と行ったほうがベター

以上、城めぐりの魅力について私の考えの一部を披歴しました。

伊東潤(著)西股総生(監修)『歴史作家の城めぐり』(プレジデント社)

最近は城めぐりに関する本もたくさん出ていますし、インターネットからも豊富な情報を得ることができるようになりました。しかし、初心者が一人で行くのは効率的と言えません。城跡によっては入り方がわからず、迷いに迷った末、たどり着けないという悲劇もままあるからです。

私も、最初は「城に行きたい」という衝動が知識の吸収についていけず、せっかく遠くまで足を延ばしても、効率よく城跡にたどり着けなかったり、見どころの遺構を見落としてしまったりしたことがありました。

これから城めぐりを趣味にしようと思っている方々にお勧めしたいのは、最初のうちは城に詳しい人と一緒に行ったり、自治体や有志が開催している城めぐりの会に参加したりすることです。遺構を見る目が養われていないうちは、先輩から現場で説明を受けると理解が深まります。

しかし、そうしたイベントが都合よくあるわけではありません。皆、多忙な中で時間を見つけて城をめぐっているので、どうしても単独で行かねばならないときもあります。

そんなとき、城めぐりのガイドとして拙著『歴史作家の城めぐり』は最適です。初心者向きのガイド本とは異なり、その城の歴史的背景、戦略的位置づけ、合戦があったならその経緯、さらに構造が複雑な城の場合、最適な見学順序まで書いておきましたので、読むだけでも楽しい上、ガイドブックとしても役立ちます。

城めぐりのお供として、『歴史作家の城めぐり』をぜひお持ちください。

伊東 潤(いとう・じゅん)
作家
1960年神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学卒業。外資系企業に長らく勤務後、文筆業に転じ、歴史小説や歴史に題材を取った作品を発表している。『黒南風の海――加藤清正「文禄・慶長の役」異聞』で第1回本屋が選ぶ時代小説大賞、『国を蹴った男』で第34回吉川英治文学新人賞を受賞、『義烈千秋 天狗党西へ』で歴史時代作家クラブ賞作品賞、『巨鯨の海』で山田風太郎賞を受賞。『峠越え』で中山義秀文学賞を受賞。近刊に『男たちの船出』がある。
(構成=プレジデント社書籍編集部)
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