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クルマは年々売れなくなっている

さて、問題は男の趣味としてのクルマを手放させるにはどうしたらいいかという質問です。

私にとってフェラーリは魂。男の勲章です。すべてに共鳴できる存在です。その証拠にフェラーリを移動手段として使うことは微塵も考えていません。世俗にまみれさせたくないし、持っているだけでいいのです。その意味で私にとってフェラーリとクルマは全く別物なのです。

例えば仕事で嫌なことがあっても家に帰ればフェラーリがある。それだけですべて忘れることができる存在なのです。

先日あるイベントでミュージシャンの河村隆一さんと対談をしたのですが、河村さんもフェラーリファンで「今、5台持っている」と言ったとたん、会場の女性ファンが一斉に「えー、なんでー」と大騒ぎ。そこで私が「バッグだって実用性から言えば一つでいいのに、いくつも欲しいでしょ」と説明すると納得してくれました。女性にとっては「物を包んで運ぶ容器」以上のものだからです。

男から見ると、女性のバッグ好きは理不尽です。女性は男のクルマ好きが理不尽に見える。そこで、男から見て理不尽な物を手放す代わりに、クルマを手放してもらうしかありません。

「私もジュエリーやバッグはやめるから、あなたもクルマをやめて」と言えば、さすがに夫も考えます。しかし、それは魂を抜く行為。翌日、仕事も人生もやめてしまうかもしれません。そんなリスクのある行為なのです。

クルマが自分の魂と言えるほどの男は、それを買うためなら月3万円の小遣いなしでもいいという覚悟があるはずです。魂を守るためなら、奥さんが一生困らないだけの金銭的な蓄えも含めた保険をそろえるなど、家庭に迷惑をかけないことなどたやすいはずです。クルマをやめさせない代わりに、小遣い返上や人生設計の面でがんばってもらうのもいい作戦ではないでしょうか。

(構成=斉藤栄一郎 撮影=鶴田孝介)