もちろん、コンテンツの量が増えたことで、人も内容も多様化しています。2つの軸はともに肥大化し、テール部分がどんどん広がっている状況と言えます。これが、若者世代におけるエンタメ感の現状ではないでしょうか。

エンタメは領域を超えた可処分時間の奪い合いへ

遊園地の写真展示にも多くの人が集まった(写真提供=UUUM)

今、エンタメ分野で起き始めているのは「可処分時間の奪い合い」です。つまり、2つの軸上にさまざまなコンテンツがある中で、どれだけ個人の時間を占有していくか。「テレビだからこの時間内で」といった括りはもはやなく、すべてのプラットフォームが同じ土俵で可処分時間を取り合う形になるでしょう。

となると、私たちUUUMは、「人」軸でどれだけ時間を占有するかという考えになってきます。YouTube上で活躍する動画クリエーターではなく、プラットフォームを超えた“動画クリエーター”として活動の幅や領域を広げる必要があります。

それは、まさにこれまで話したようなチャネルやプラットフォームの垣根を超えることを意味します。当然ながら、動画クリエーターそのもの人気を上げて、ファンとのエンゲージを深めることは必須ですが、あわせて活躍できるチャネルを増やす。そうして占有時間を増やすためのプロデュースを行う。いわば、占有時間という「量」と、エンゲージメントという「深さ」を両立させる作業が求められます。

若者世代はコンテンツファーストの価値観を持つ中で、どう占有時間を広げられるか。そのためには、さまざまな活躍の場(=チャネル)を用意することがきわめて重要です。エンタメビジネスの今後を考える上では、この点がポイントになると考えています。

笠原 直人(かさはら・なおと)
UUUM 執行役員/ライブ・エンタテインメントユニット統括
1977年生まれ。2000年に株式会社IMAGICAに入社。映像編集エンジニアを経て番組・CMのプロデューサーを経験し、その後ソニーネットワークコミュニケーションズへ転職。転職後は放送局との共同事業による番組立ち上げや、ソニーグループ企業のデジタルマーケティング戦略構築に従事。2015年、映像業界とインターネット業界で得た経験を活用し、ネット動画市場の拡大・動画クリエーターの活躍の場を広げるためUUUM株式会社入社。
(写真提供=UUUM)
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