最近はゲーム実況の投稿が多いはじめしゃちょーがステージでもゲーム実況をする。普段の投稿でも「トークがうまい」と評価されている水たまりボンドがステージ転換の間にフリートークをする。その他、登壇者全員でゲーム「荒野行動」をしたり、ミニゲームに挑戦したりと、普段クリエーターが動画でやっていることをステージ上で実演しました。

なぜ遊びがコンテンツとして成立するのか。それは、動画クリエーターという「人」そのものが完全なコンテンツになっているからです。観客は「何かを見にくる」のではなく「会いにきている」のです。クリエーターはクリエーターで、会話したり、遊んだりする中に観客とのコミュニケーションを挟むなど、「一緒に遊ぶ」という感覚を持っています。それは舞台に立つ人間と観客の関係性として新しいものだと感じます。

ゲーム実況で盛り上がるクリエーターたち(写真提供=UUUM)

「成長の過程」を見せることがエンタメに

一方、ファン層の中心は10代から20代前半なので、U-FESが初めてのリアルイベントという方も多いようです。手拍子でアンコールを要望しても、なかなか盛り上がらないなど、ライブに慣れていない雰囲気が伝わってくるのです。

ここから感じるのは、動画クリエーターのイベントはまだ黎明期で、今は会えることに価値を感じていただける段階だということ。ファンもまだイベントの経験値が少ない状態ですが、その両方が成熟し、会うことが通例化する、並行してファンもイベント経験値を上げていくと、会うことを主体としたイベントでは満足しない可能性があります。つまり、会うことの先にある内容面の完成度を上げなければいけません。

実際、U-FES.でも今年は舞台セットを全面的に見直したり、サプライズの仕掛けを入れたりと、内容面の向上にフォーカスしています。会うだけでなく、体験として持ち帰られるものを作るフェーズに来ていると言えます。

また遠い憧れの存在ではなく、半歩先の存在であるからこそ、彼らの成熟する過程を一緒に楽しむことがファンの魅力になるとも言えます。100パーセントの完成度のものをいきなり出すだけでなく、成長の途中も見せていく。その過程自体がエンタメになるのも新しい兆候と考えています。

今の若者は「コンテンツファースト」だ

これまではネットとリアルの垣根を超えて活躍の幅を広げているという話をしてきましたが、これは決してリアルイベントに限った話ではありません。たとえばHIKAKINやフィッシャーズ、水溜りボンドといった人気クリエーターが地上波テレビに出演するなど、ネットと電波という垣根も超えはじめています。また、逆にテレビタレントがYouTubeに進出しているケースも目立ちます。つまり、エンタメ内でさまざまな垣根を超える現象が起きています。