「YouTuber(ユーチューバー)」の人気が、ネットの外にも拡がっている。11月に東京で開催したイベントには約3万人が集まった。彼らはなぜリアルでも人を惹きつけられるのか。ユーチューバーをサポートするUUUM(ウーム)執行役員の笠原直人氏は「若者にとっては、彼らと会うこと自体がエンタメになっているからだ」と分析する――。
人気クリエーターが集まった「U-FES.」の集合写真(写真提供=UUUM)

“リアル”でも動画クリエーターが人気の理由

YouTubeで活動する動画クリエーターの人気が、リアルイベントにも拡がっています。私の所属するUUUM(ウーム)では、動画クリエーターのマネジメントを行っており、2015年から「U-FES.」というイベントを毎年開催しています。初年度の来場者は2000人でしたが、年を追うごとに規模が拡大。今年は11月10日と11日の2日間、東京ドームシティでイベントを行いました。

今年の「U-FES.」では、HIKAKIN、Kazu、Megumi、ジェットダイスケなど総勢20組が出演するプレミアムライブを計4回開催。各回5000円で約3000席を用意していましたが、すべて完売しました。そのほか期間中の関連イベントをあわせると、来場者は2万8000人に達しました。

彼らはあくまで動画クリエーターです。ここまでリアルイベントに人が集まるとは、われわれも当初は考えていませんでした。ただ、イベントを開催してみると、人気の理由がわかるようになりました。

動画クリエーターの魅力とは、“ファンとの距離の近さ”です。テレビタレントやモデルのような「遠い憧れの存在」ではなく、「隣のお兄さん」や「クラスの人気者」のような近い存在です。

フィッシャーズや東海オンエアなどのクリエーターはその典型です。一歩先ではなく、半歩先を歩く人たち。SNSや動画のコメント欄でファンと気軽にやり取りする姿勢などもあって、そういった距離感を生んでいます。

これは既存のメディアであまり見られなかった関係であり、彼らを支持する人たちはその距離感を好んでいると考えます。そして、その距離感がリアルイベントと相性がいいのです。距離が近くエンゲージメントが濃いぶん、「会いたい」という気持ちにつながると言えます。

「観客の前で遊ぶ」で盛り上がる

彼らのリアルイベントを見ると、既存のリアルイベントとは違うところがあります。これまでのイベントは、音楽や演劇、ショーなど、パフォーマンスコンテンツありきでイベントに人が集まってきました。一方、U-FESの場合、音楽ライブなどを行うのは半分ほどで、それ以外のクリエーターは、観客の前で会話をする、遊ぶなどの様子を披露します。しかし、ファンは彼らの一挙手一投足に盛り上がっています。