深圳は「大湾岸経済圏」の中核に
中国政府はいま、「大湾岸経済圏」構想を打ち出している。深圳、香港、広州、東莞、中山などを含む大規模な経済区の建設を目指していて、つい最近も習近平国家主席が現地を見て回っている。この 「大湾岸経済圏」の中心に位置づけられているのが深圳だ。
いまや香港のGDPは深圳に追い抜かれており、香港は金融機能に特化していかざるを得ない。広州、東莞、中山などは産業集積が進んでいるものの、労賃高騰から一時ほどの勢いはない。そこでイノベーションが急激に進む深圳を中核に据え、経済圏の一体化を図っていくというのが、今後の発展方向となろう。そのためにも、日米貿易戦争の影響を出来るだけ軽微にとどめられるように、中央政府も深圳市も全力を注ぐことになろう。
拓殖大学名誉教授
1944年生まれ、1967年に慶應義塾大学経済学部を卒業後、日本経済新聞社に入社。北京特派員を経て、87年に北京支局長となる。93年に日本経済新聞論説委員に就任。その後、2001年に拓殖大学国際学部教授。08年から国際学部長。主な著書に『老いはじめた中国』(アスキー新書)、『中国デスク日記』(桜美林大学北東アジア総合研究所)など