子供をつくったことを後悔する人の言い分

さらに米国のビッグデータ解析では、子供がいる成人は、いない成人よりも、3.66倍も多く子供を持った決断を後悔しているとの分析結果もあります(『誰もが嘘をついている』セス・スティーヴンズ=ダヴィドウィッツ著、光文社)。

子供をつくったことを後悔していると感じている人が、そう思う理由は必ずしも教育費だけではなく、子育てにまつわる様々なトラブルや困難が含まれているはずです。こうしたデータからは「子供のいる人は幸せで、そうでない人は不幸」と単純に言い切れない現実がうかがえます。

子供の教育費をきっかけに不仲が続いていた上野夫妻も同様です。

2人はマンガの終盤で、奇跡的に信頼関係を回復しますが、これはあくまでフィクション。現実問題として、ここまで関係が崩壊してしまうと夫婦の信頼修復は難しいはずです(せっかく前向きな終わり方にしてくれた脚本家さん、漫画家さん、すみません!)。

鈴木信行(著)『マンガ 宝くじで1億円当たった人の末路』(日経BP社)

誤解なきように言っておきますと、『マンガ 宝くじで1億円当たった人の末路』の目的は、子供がたくさんいて幸せに暮らしている人の生き方にケチをつけたり、子供に教育費を注ぎ込んでいる人に考え方を見直してもらったりすることではありません。

そうではなく、「子供がいない人生=不幸で悲惨」という社会の空気を感じ取り、「自分の人生はやはり不幸かもしれない」と悩み続けている……そんな人に、「人生は人それぞれ。『子供がいない幸せ』を楽しめばよし」と伝えるのが真意です。子供がいなければいないで、人生の自由度が大きく広がるのも事実です。

友達や子供というものは、人生に必要な「仲間」の一部でしかありません。そんな考えもあっていいのではないでしょうか。

鈴木信行(すずき・のぶゆき)
日経ビジネス副編集長
1967年生まれ。1991年慶応義塾大学経済学部卒業、同年日経BP社に入社。「日経ビジネス」、日本経済新聞産業部、「日経エンタテインメント!」「日経トップリーダー」を経て、2011年1月より現職。中小企業経営、製造業全般、事業承継、相続税制度、資産運用などを中心に取材。著書『宝くじで1億円当たった人の末路』(日経BP社)は15万部を突破。2018年11月に出したコミック版『マンガ 宝くじで1億円当たった人の末路』は発売2週間で3万部を突破。末路シリーズは累計18万部のベストセラーとなっている。
(シナリオ=星井博文 作画=nev)
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