セクハラの慰謝料はいくらかかる?

では、セクハラがあった場合、慰謝料としてどのくらいの金額を支払うことがあるのだろうか。前提として忘れてはいけないのは、「女性の苦しみは金銭で評価できるものではない」ということだ。「いくら支払えば解決するのか」というのは社長の姿勢として根本的に間違っている。金銭的解決というのは、他に手段がないための方法でしかないことを肝に銘じておかなければならない。

セクハラの慰謝料は、(1)行為の内容、(2)期間、及び(3)被害の程度を基礎にして決めていくことになる。行為の内容としては、身体的接触の有無によって大きく異なる。被害の程度については、うつ病・PTSD(心的外傷後ストレス障害)をともなうものか、退職を余儀なくされるものかなどによって異なってくる。

職場で卑猥な発言をしていたなど、身体的接触をともなわない場合には20万円から30万円くらい、身体的接触をともない悪質性の高いと言えるものには100万円から200万円くらいをひとつの基準として持っている。これは過去の判例を参考にしたものだ。これを基礎にしつつ、個別事情を加味して調整していくことになる。

セクハラでも示談書を作成すべき

ちなみに約8年間にわたりセクハラの被害に遭ったケースで慰謝料として200万円が認定された判例がある。また、酒席で頻繁に肩に手をかけた事案では5万円の慰謝料が認定された判例もある。最近では労働事件における慰謝料をまとめた本も出ているので参考にしていただきたい。

こういった慰謝料を支払う際には、セクハラの場合でも示談書を作成することを勧める。これは事後的に「賠償金をもらっていない」と言われないためにもきちんとしておくべきものだ。「被害者に悪くないか。言いにくいのだが」と口にする社長もいるが、ただ慰謝料を支払うだけというのはやめておくべきだ。