働けない場合は、ハローワークで申請
退職後の健康保険は、(1)サラリーマンの家族の被扶養者になる、(2)前の勤務先の健康保険の任意継続被保険者になる、(3)国民健康保険に加入する、という3つの選択肢があります。
(1)の被扶養者は、保険料の負担なしで健康保険に加入できるので、サラリーマンの家族がいて自分が年収要件を満たしているなら第一候補です。ただし、高額療養費の多数回該当は、健康保険が変わると継続できません。病気の治療が続いていて毎月のように高額な医療費がかかっている場合は、(2)の任意継続被保険者のほうが安心です。とくに独自の「付加給付」がある健保組合なら、(2)を利用したほうが医療費の負担を抑えられるので、退職後の健康保険は、保険料だけでなく、健康状態や付加給付の有無を考慮して選んでください。
通常、退職するとハローワークで雇用保険の「基本手当(失業給付)」の受給手続きをします。1日あたりの給付額は、退職前の6カ月間の給与を180で割った金額の50~80%。年齢や勤続年数、離職理由に応じて90~360日間給付を受けられます。でも、傷病手当金をもらっている間は失業給付を同時に受け取ることはできません。失業給付の受給期間は原則的に離職した日の翌日から1年間なので、傷病手当金の受給中に失業給付の受給資格が消滅してしまうことがあります。ただし、病気やケガ、出産などで30日以上働けない場合は、失業給付の受給開始を最長4年間延長できます。退職後も傷病手当金をもらっている人は、ハローワークで忘れずに失業給付の延長手続きをしておきましょう。
傷病手当金や失業給付で療養中の生活を乗り切り、その間に健康を取り戻して社会復帰できればいいけれど、なかには症状の改善を望めないこともあります。その場合は公的年金保険から「障害年金」をもらえる可能性がありますが、気をつけたいのは手続きのタイミング。障害年金は病気やケガで障害が残った人の生活を支えるための保障なので、原則的にその病気ではじめて受診した初診日から1年6カ月経過していないと請求できません。
「身体障害者手帳」を取得すればNHK受信料は半額
例外的に、「永久人工肛門を造設した」「脳梗塞で麻痺が残った」など症状が固定したものは、1年6カ月を経過しなくても請求できますが、高額療養費のように病気になったらすぐにもらえるものではありません。障害認定日以前に申請しても給付は受けられないので、タイミングを見極めて最寄りの年金事務所で請求しましょう。
もらえる金額は障害の程度によって、障害基礎年金は1級と2級、障害厚生年金は1級・2級・3級があり、数字が小さいほど給付額は高額になります。
1度認定を受けても症状が悪化した場合は再申請できますが、2~3カ月はその等級のままになってしまうので、症状が進行しているときは様子を見て申請するほうが賢明です。
同時に「身体障害者手帳」を取得しておくと、所得税や住民税の減免、公共の交通機関の運賃割引など、生活のさまざまな場面で優遇を受けられます(内容は自治体で異なる)。たとえば、身体障害者手帳1級または2級を所持している人が世帯主の場合、NHK放送受信料が半額になります。身障者手帳は身体障害者福祉法で定められた障害のある人に対して、都道府県または指定都市が交付しているので、利用要件は障害年金とは異なります。年金はもらえなくても、手帳の利用はできることもあるので別途申請を。