厚生労働省の発表でも有効求人倍率が高い職業は、建設躯体工事10.47、保安(警備員など)8.29、家庭生活支援サービス(訪問介護員、保育士など)7.39と肉体を使う仕事。人手不足の職種は長く働けるという利点もある。ただ、問題はこれらが希望する仕事とマッチしているかどうかだ。今まで日本の中産階級の多くを占めていたホワイトカラー事務職の求人は0.41と低い。
毎年、正社員だけで200万人と言われる転職人口(パートなどを含めると500万人)。実際転職した際の動機、退職の理由を年代別に見てみると(図3)、30代は賃金への不満だが、40~50代になると早期退職勧奨の割合が高くなる。人員削減のターゲットになるのはいわゆる団塊ジュニア世代。71~74年生まれ、つまり現在44~47歳は第二次ベビーブームで、毎年200万人を超える大所帯。ポストは少なく社内の競争に敗れれば、会社での居心地も悪く将来も不安。いっそ新天地を求めて転職という選択も自然な流れだろう。
しかし、転職は決して甘くない。転職した人の満足度を見ると(図4)、どの世代も半数以上が満足と答えているが「30代と50代の転職満足度は全く異質です」と黒田さんは分析する。