20年かけてつくった党を崩壊させた

【塩田】緩やかな選挙互助会ですか。政治団体とはいえ、基本方針や路線、ビジョンは。

【馬淵】政党ではなく、政治団体です。規定・規約には、理念は記していますが、基本政策や綱領などは定めない。それをやると、模擬政党になってしまう。誤解されないように、私は最初から国民民主党の共同代表の玉木雄一郎さん、大塚耕平さん、立憲民主党の枝野幸男代表にも結成の話をしてきました。「党を分断、分派する気はない」「むしろ一つにまとめてほしい。そのときに、こぼれないように浪人の仲間を束ねる」と申し上げた。外形上は緩やかな親睦団体という位置付けですが、理念の部分は、当然ながら「共生社会」を目指す。民主党、民進党でわれわれが言い続けてきたことで、そこは大きくは変わりません。

【塩田】枝野、大塚、玉木の3氏はどう反応したのですか。

【馬淵】3人とも前向きに捉えてくれました。国民民主党結党の話が出る前だったから、玉木さんや大塚さんからは、いろいろな支援の形を模索してくださるというお話もいただきました。こちらの趣旨は理解していただけたと思っています。

【塩田】昨年の総選挙の際、民進党から希望の党への転籍を決めた当時の前原誠司民進党代表の選択・決断をどう見ていますか。

【馬淵】この結果がすべてでしょう。これ以上の失敗はない。20年かけてつくってきた党を崩壊させてしまいました。

あのとき、前原さんが民進党の事実上の解党を提唱し、みんなで希望の党合流を決めました。誤った情報が広がっているので確認しておきますが、民進党の両院議員総会には全員が参加し、事実上の解党と、そして希望の党からの出馬について、全会一致で決定したのです。横路孝弘さん(元衆議院議長)や赤松広隆さん(現衆議院副議長)など異論を唱えた方もいましが、最後は全会一致でした。

だから、合流を選択したのではない。私も、ものすごい違和感はあったけど、政権交代可能な状況をつくるという、この離れ業に、ただただ自分の理解を超えている、と思いました。そして、このような判断を、受け止めよう、と。

出席者全員で決めたのです。自分もその場にいて、了とした以上、それを全うしようと思いました。政権交代が可能かもしれないという上気した議員の顔を見て、自分の判断をはるかに超える、ある種、天才的な政治行動の結果なんだと受け止めました。

正直、私には想像もつかなかった。私は政治家になる前、企業ビジネスでM&A(企業の合併と買収)をやっていましたが、企業結合、組織結合は緻密な積み上げでやるんですよ。だから、あの合併劇はマジック、イリュージョンのように見えて、違和感は大きかった。企業人として、組織結合がいかに大変か、身をもって知っている立場からいうと、政党って、そんな一瞬にしてこんなことができるのかと思った。18年、政治家をやってきて、想像もしなかったけど、最初はこれが本当の政治の世界か、自分はまだまだ半人前の素人だなと思った。この決断は、すごいことなんだな、と自分で腹に落とそうと努力しました。

ところが、翌日には小池百合子さん(東京都知事)の排除発言が出て、ご覧いただいたような流れが始まるわけです。