「成果を生まない行動はすべて無駄」と意識する

次は2つめの「行動の無駄を無くす」についてだ。うまくいく人とうまくいかない人の行動の違いをつきつめれば、「無駄があるかないか」に帰着する。

筆者に言わせれば、「成果(お金)を生まない行動はすべて無駄」である。ひたすらまじめに仕事に打ち込んでも、一向に成果を生まなければそれは無駄な労働であり、無駄なコストである。

わが社にも、目的意識が希薄なスタッフがいる。頻繁に遠い場所まで出かけて、人に会いに行く。

「人脈をつくりに行きました」
「新しい社内の仕組みづくりに必要なアイデアを得るためにうかがいました」

といった明確な目的があるのなら、私はその行動を否定しない。しかし「なんのために○○さんに会いに行くの?」と聞いても、「誘われたので」と答えるものだから、話にならない。

うまくいく人は、無駄を徹底的に切り捨てる。「望む成果」という一点にフォーカスして、そこから外れたものはすべて排除する。

このご時世でも飛び込み営業を行う人がいるが、まったくの時代遅れだ。そんな非効率なことをするよりも、「SNSを活用していかに見込み客をつくるか」に頭を絞ったほうが、よほど効果が期待できるだろう。

感情に流されずに数字で判断する

3つめは「時間とお金の価値に対する認識」だ。うまくいく人・うまくいかない人の違いは、時間やお金に対する認識に顕著に表れる。

写真=iStock.com/baona

この2つは、人間にとっての大事な資源である。うまくいく人はその価値をよく知っているから、「なんのためにこの時間を/お金を使うのか」をまず明確にする。目的が明解になれば使い方を間違えないし、決して無駄にしない。できる人ほど時間とお金を、自分の人生の質やスキルを高めるために有効活用しているのである。

時間とお金には、共通点がある。それは、数字で表されるということである。

数字は正直である。言い訳が入り込んだり、感情に流されたりする余地はない。現実をそのまま表してくれる。それを冷徹に分析して、日々の行動や経営に生かせばいいのだ。

しかし、それを実践している人は、ほんの一部だ。経営者だというのに、数字が苦手な人もたくさんいる。私はファイナンシャル・プランナーとして、多くの企業の決算書を日頃から目にするが、経営が苦しい会社の経営者ほど、数字の判断が苦手である。

収入が少ないのに、支出を抑えられない会社も少なくない。経営者の性格、心得に起因しているようだ。「楽しいことをしたい」という意識が強すぎて、意味があるとは思えないパーティーに出席したり、余計な出費をしたりしてしまう経営者も多い。彼らも、厳しい数字が出ているのは認識しているらしい。しかし、それを見て見ぬふりをしてやり過ごそうとしている。これでは経営は成り立たない。数字を基に現実を直視し、「では、どうするか」と対策を考えることが欠かせないのだ。