中国バブルが崩壊するとき

他方、中国の研究者の間には、「一気にバブル崩壊を導いたとする日本の『総量規制』のようなやり方は禁じ手」という認識がある。日本ではバブルつぶしのために、建設、不動産業向けの貸し出しを制限した。これが総量規制と呼ばれている。日本を反面教師にする中国では、一気に市場を崩落させるようなことはしない、というのだ。

筆者は「中国で住宅バブルはいつ崩壊するのか」と中国の金融の専門家に尋ねたことがある。その回答は「それは中国政府が市場をコントロールできなくなったときだ」というものだった。

中国では「住宅市場がクラッシュする」と考える人は少ない。むしろ、住宅価格は微増ながらも上がり続けていくだろう、という予測が強い。コントロールすることで崩壊を避ける――これこそが共産党国家が支配する中国不動産市場の「妙味」なのである。

姫田小夏(ひめだ・こなつ)
フリージャーナリスト。アジア・ビズ・フォーラム主宰。1997年から上海、日本語情報誌を創刊し、日本企業の対中ビジネス動向や中国の不動産事情を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、語学留学を経て上海財経大学公共経済管理学院に入学、修士課程(専攻は土地資源管理)を修了。14年以降は東京を拠点にインバウンドを追う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、『インバウンドの罠』(時事通信出版局)ほか。
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