妻に先立たれた資産家の高齢男性。寂しさから結婚相談所に登録すると、そこで待っているのは「後妻業」のプロ女性たちだ。長い人生の経験もあり、仕事を通じて見識も持っているはずの高齢男性が、なぜいとも簡単に騙されるのか。その手口を紹介しよう――。

実話がベースだった、小説『後妻業』

京都や大阪を舞台にした高齢男性4人への殺人および強盗殺人未遂に問われた筧千佐子被告の裁判員裁判が、6月26日から始まった。当初、弁護側は無罪主張で臨んでいたが、ここに来て筧被告が一転して元夫の殺害を認めたことで審理の行方が注目されている。

筧被告のように“財産目当て”で高齢男性を狙い、入籍あるいは内縁関係になったあと、遺産を根こそぎ狙うやり方を俗に「後妻業」と呼ぶ。2014年に同名の小説を世に問い、この言葉を世の中に定着させた作家の黒川博行氏は次のように話す。

「公判では4つの事件が裁かれているだけですが、新聞記者などに聞くと、筧被告が実際に手をかけた男性は10人に及び、奪った遺産は10億円ともいいます。昔から色仕掛けで老人を食い物にする例はいくらでもありました。私が『後妻業』のモデルにしたのも、知人から相談された話だったのです」