「ただ一発だけワシントンにブチ込めれば本望」
なぜ頻繁にミサイル実験を繰り返すのか。トランプ米大統領に向けたものか?
「そんなことはない。将軍様(故・金正日総書記)は『アメリカは、こちらが強行に出ないと振り向かない。そして核とミサイルを手放した時に襲ってくる』という遺訓をのこされた。現在の元帥様(金正恩委員長)も、まったく同様に考えておられる。(中略)わが国は現在、3人のアメリカ人を拘束しているので、アメリカはわが国を軽々にはできない」
日本を超えるミサイルを撃つのは日本も標的の一つと見ているからか?
「日本はアメリカの“属国”同然なのだから、当然、在日米軍基地も標的に入っている。中でも首都、東京にほど近い横須賀基地を叩くのが、一番効果があるに違いない」
アメリカが平和協定を結ぶと約束したら、核とミサイルのどちらを放棄するのか?
「まずは平和協定を締結することが先決だ。平和協定が締結されれば、わが国の軍事的リスクが軽減されるのだから、もし必要でないものがあるなら、持っていることもないだろう」
トランプ米大統領が北朝鮮空爆を決断したら?
「核兵器を搭載したICBMを、アメリカ帝国の首都ワシントンに向けて撃ち込む。『ただ一発だけワシントンにブチ込めれば本望だ』と、元帥様も常々おっしゃっている」
中朝関係は最悪。いつでも北京を狙えるようにしてある
そうなればアメリカは総攻撃に出るが?
「それは覚悟している。アメリカとの問題は、究極的にはプライドの問題なのだ。われわれはいかなる脅しにも屈服することはなく、本気だということを示すまでだ」
現在、北朝鮮をバックアップしている大国は、中国ではなくロシアと考えてよいのか?
「その通りだ。プーチン政権とは、蜜月時代を築いている」
ICBMの技術もロシアから得ているのか?
「現在の朝ロ関係は、過去最高のレベルにあり、ロシアが多くのことを支えてくれている。
北朝鮮と中国との関係は、かなり悪化していると考えていいのか?
「1949年に国交を結んで以来、最低レベルまで落ち込んでいると言える。朝鮮戦争(1950~53年)以降、朝鮮と中国両国は互いに『血盟関係』を唱え続けていたが、今やむしろ敵対関係に近い。(中略)すべての原因は、習近平が変節したことにある。習近平は信用ならないから、わが国のミサイルは、いつでも向きを変えて北京を狙えるようにしてある」
「あの金正恩でも、嫁さんには頭が上がらない」
これまでも近藤による労働党幹部のインタビューはあったが、米朝関係が最高に緊張しているこの時期に、これだけの内容を北朝鮮から引き出せる記者は他にはいまい。
次の号でも「あの金正恩でも、嫁さんには頭が上がらない」というレポートを書いている。
金正恩の嫁さんの名前は李雪主。結婚したのは2年前で現在、28歳。驚くのは、李はかつて金正日総書記のナンバー2として君臨していた、張成沢の愛人だったというのである。
「張成沢が、大同江の川辺に『会館』と呼ぶ個人用宴会場を設置し、若い女性歌手たちをホステスとして侍(はべ)らせていた。(中略)上昇志向が強い李雪主もその一人だった。そんな中で張成沢は。同郷の李雪主を気に入り、愛人にした」(近藤)