つまり、これからの政治に必要な人材を育成する以上、国政は念頭に置いているが、それはあくまでも人材の育成および輩出という点においてであって、それが新党や塾生の立候補とは直結しないということである。

「政治塾」に人を集めてから、動き方を考える

無論、若狭議員は国政新党を政治塾の開催期間中、年内のできるだけ早い時期に設立したいと説明している。ただし、政策は政治塾開催の初期から示すことはせず、政治塾での討論を通じて収斂させていくとしている。また、政治塾に集める人材も、志を同じくする人としているものの、政治のプロだけによる政治ではなく幅広い人材による政治を目指し、幅広い層の方を集めたいとしている。そうした点を踏まえると、国政新党という旗は立てつつも、外部状況や人の集まり具合を見ながら、その在り方を考えていくのだろう。

結局のところ、現段階では、自民党でも民進党でもない人材、もっと言えば自民党にも民進党にも嫌気がさしている人材を、まずは政治塾という形式で集め、集まった数や人材の資質に応じて動き方を考える、という程度の話なのだ。

米国以外は多党制下での連立政権が常態

現状では、ある意味で「全方位外交」なのだから、例えば、民進党を離党した細野豪志衆院議員や長島昭久衆院議員、日本維新の会を除名された渡辺喜美参院議員との連携などは、模索や検討の一環に過ぎず、すぐさま新党に向けて具体的に動くという話ではないと考えるべきだろう。

そもそも、若狭議員が「自民党でも民進党でもない」と言いつつ、「二大政党制を前提とした受け皿を作っていく」と言っている時点で、立ち位置がまだ定まっていないことが透けて見える。これは実質的には自民党に替わる勢力を目指すということだろう。さまざまな民意があり、利益があり、それらの全てとは言わないまでも、その多くを2つの政党が代弁することなど不可能である。小池知事がよく使う「ダイバーシティ(多様性)」を考えればなおさらだ。だからこそ米国に代表される一部の例外を除いて、世界の民主主義国家では多党制下での連立政権が常態なのである。

中央政界での野党再編か与党も巻き込んだ政界再編か、そうした動きを横目で見つつ、よく言えば柔軟に、うがった見方をすれば哲学や主義主張もなく、アメーバのように動く政治団体「日本ファーストの会」。しばらくの間は静観したほうがいいだろう。

(写真=つのだよしお/アフロ)
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