思いやり予算、沖縄……現政権のアキレス腱

【三浦】安保法制に関しては、結局、安倍首相と高村(正彦 自民党副総裁)さんとのやりとりで、「こういう憲法解釈ならいけるだろう」という公明党対策の部分があったわけですか?

【石破】それは私にはわかりません。2015年の安保法制の議論の中で、高村副総裁がおまとめになるということになり、北側(一雄 公明党)副代表と、弁護士同士、法的ロジックにもとづいてまとめられたのは事実だと思います。

【三浦】結果として安保法制は「存立危機事態」に限定されましたよね。憲法解釈上の限界というレガシーを安倍政権は残してしまったわけです。今後、日米の同盟関係を対等に持っていく形で、集団的自衛権の行使を定義し直して、フルスペックに近づけていくということはありうるのでしょうか。安倍首相は2020年ぐらいまで(首相を)やりたい意向をお持ちのようですけど。

【石破】そうですか。

【三浦】らしいですよ。巷の噂では。安倍政権が安保法制からさらに一歩踏み出す可能性があるのかどうか。

【石破】それはちょっと難しいのだろうと思います。今の政権として、「憲法上これ以上の行使はできない」と言ったわけですから。ただトランプ大統領はもっと日本に(在日米軍の駐留経費を)負担させるべきだって言いましたよね。もちろん、「日本はすでに75%も負担しております」と言うことになるでしょう。それで向こうは「そんなに持ってくれているんだ。ありがとう。それならいいよ、その話は。悪いことを言ったね」となるのか。それとも「米軍が日本に置いている艦船や航空機のレンタル料はどうした? 提供している核の傘代もあるぞ。空母ロナルド・レーガンやF-22戦闘機は高いんだ。その分を払ってないだろうが」と言われるのか。

在日米軍駐留費用のさらなる負担を求められるのか(米軍普天間飛行場に駐機する米海兵隊の新型輸送機オスプレイ)。(写真=時事通信フォト)

【三浦】そこまで政権として予測しているのか。

【石破】しているとは思いますが。

【三浦】つまりホストネーションサポート(思いやり予算)で日本は75%も負担しているという、これまでのロジックや、防衛予算をちょっとずつ増やしていけば何とかなるというレベルでは間に合わない変化が起こりうる、と。

【石破】何しろ相手がトランプ大統領ですからね。