信越化学工業ソフトバンクトヨタが推し

選挙戦中のトランプ氏の発言から政策を予測し、今後上昇が見込める業界・銘柄を紹介していこう。

第一生命経済研究所の永濱氏が推す業界は、「インフラ」「金融」「輸出関連」の3つ。

「トランプ氏は5500億ドルのインフラ投資を掲げ、勝利宣言演説のなかでも都市部のスラム改善、トンネルや高速道路などのインフラを立て直すことによる雇用の拡大を強調していました。これが実現されれば、インフラ投資に関わる機械や素材関連の需要が世界的に高まるでしょう。

また、トランプ氏はドッド・フランク法を『金融機関をがんじがらめに縛る悪法』と批判し、廃止についても言及してきました。これが実現すれば銀行の収益拡大につながるため、すでに金融株は高騰しています。

最後は『良くも悪くも』ということになりますが、輸出関連は要注目。円安が続くのか、今後円高に変わるのかでガラリと状況が変わります。潮目を見定めてください」

ファイナンシャル・プランナーの横山氏も、金融に関しては永濱氏と同意見だ。個別銘柄としては「三菱UFJフィナンシャル・グループなど大手銀行がいいでしょう。アメリカの金利上昇、原油価格の上昇で、マイナス金利の日本も今後金利が上昇局面に向かう可能性があります。長期金利の上昇によって、貸し出し金利の引き上げなどから収益基盤が改善することも」。

横山氏が注目する銘柄は、ほかに2つある。

「1つめはソフトバンク。16年9月に、半導体設計大手である英国アームホールディングスを100%買収したことを発表しました。これは、次世代の3D半導体の時代をにらんでの買収でしょう。トランプ氏とも早々と会談を行うなど、孫正義氏の先見の明とフットワークの軽さを評価しました。

2つめは、小野薬品工業です。がん免疫治療薬『オプジーボ』の薬価引き下げで業績は低迷しており、株価は先行して下落しています。医薬品セクターは、大統領選でも取り上げられたアメリカの薬価引き下げ案等を受けて売られていますが、需要がなくなることはありません。今後は緩やかな安定成長に入るのではないでしょうか」