国民年金よりいい生活保護ライフ

生活保護の金額は、住んでいる地域、世帯の人数・構成、それぞれの年齢、各世帯個別の事情(障害の有無・程度・家賃額など)によって決められる。私のように都内で一人暮らしをしている場合、大体13万円程度が「最低生活費」として支給される。昔は男性のほうが家事ができないぶん、支給額が高かったようだが、今はそうでもないらしい。こんなところでも「男女平等」というわけだ。

私は年金を受給しているので、その差額が生活保護費として支給される。新しい家は、区内の都営住宅に決まった。13万円の生活保護費ではそもそも15万円の家賃の家に住むのは不可能だが、仮に10万円であっても住み続けることはできない。生活保護を受ける人間が住んでもいい家賃には、地域ごとに上限があるからだ。その引っ越しに必要な費用などは、月々の生活保護費とは別に支給される。持ち家がある場合、資産価値によってはそのまま住み続けることもできるという。

生活保護のメリットはこれだけではない。生活保護を受けている限り、税金や年金保険料は全面免除。水道料金やNHK受信料、医療費などもタダだ。自治体によっては、交通機関の無料パスがもらえるところもあるらしい。

先日、現役時代の知り合いと酒を飲んだ。ちなみに、生活保護費の範囲であれば、酒を飲むのも自由だ。

彼は、同じような規模の小さな会社をやっていた男だ。いまだに働き続け、仕事のストレスから胃潰瘍を患っているという。

「入院したのか?」と聞くと、「金も時間もないから、そんなことできないよ。騙し騙しやっているんだ」と自嘲気味に笑っていた。可哀想に。実は私も胃にポリープがあったのだが、生活保護を受けてから、余った時間でひと通り体のガタを治すことができた。入院したってタダである。個室は「必要最低限」ではないから大部屋だが、私の資産なら生活保護を受けていなくたって大部屋だっただろう。

これから先、介護を受けるようになっても生活保護なら安心だ。必ず施設に入ることができるし、福祉事務所の人間は必ず受給者と面談をする義務があるから、話し相手にも困らない。わずかな貯金を切り崩しながら国民年金だけで生活するより、生活保護のほうがよほど快適だ。私のようにこの制度の穴に気付く人間が増えたら……日本はどうなってしまうのだろう。

(本稿はすべてフィクションです)

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