英語は4技能をバランスよく学習することが大切

三宅義和・イーオン社長

【三宅】おっしゃる通りです。英語が国際的な公用語と言っても過言ではない。

【山下】では、そんな状況下でのグローバル人材というのは何なのかと言ったら、私は昔も今も本質は変わらないと思っています。ただ、昔よりも英語の必要性というのは、もう間違いなく高まっています。しかも、それはコミュニケーションや交渉のツールですから、外国人から信頼され、リーダーシップも発揮できるようになるには、説得力も含めて英語を使いこなせなければなりません。よく、欧米のビジネスマンに比べて、日本人はマネージャークラスでもリベラルアーツ、すなわち教養が身についていないと言われます。もちろん、教養はあるに越したことはない。しかし、大切なことは、自分の考えや意見を堂々と述べることです。そうすれば、相手から存在を認めてもらえるわけですから。

【三宅】それはもう間違いないですね。グローバルの時代をたくましく生き抜いて、世界の人たちと一緒に何かを作り出していくとか、そういうチャレンジをするには、英語ができないと、なかなか厳しい面があります。

ところで、日本で英語教育というのは、極端から極端に移る傾向がある。私が学生の頃は文法と単語を覚えることが必須だと考えられていました。しかし、その後、細かい文法を学んでも、英語は話せるようにはならないという風潮になって、学校の教科書も会話中心になりました。でもそれで、今の中高生、大学生の英語力が上がっているかというと疑問です。

【山下】うーん、私は40年余り、ビジネス界にどっぷり浸かっていて、日本の英語教育界に対して意見する立場ではないです。ただ、三宅社長がおっしゃるように、日本の英語教育に限らず、極端から極端に映るというのは日本人の特質かもしれません。これも歴史上、繰り返していることだと思うんです。

【三宅】英語だけではないかもしれない(笑)。

【山下】ただやはり、聞く、話す、読む、書くという4技能をバランスよく学習することは大切で、英語に関しては根気よくやるしかありません。例えば、算数の九九とか漢字が小学生で身につくのは、繰り返し声を出し、手を動かして、覚え込んでいくからです。英語を習い始める中学校時代には、そういう要素は多少あると思いますが、高校、大学に進むにつれて、それが抜けてしまっている。少なくとも私の場合はそうでした。

【三宅】大学入試も2020年からセンター試験がなくなって、新しい4技能のテストになるという、大きな変化が予想されます。大学入試が変われば、入学後のカリキュラムにも影響が出るはずです。その意味で、企業側からも、大学への期待というか、グローバル人材の育成に関して提言してもいいのかもしれませんね。

【山下】私どもも毎年、TOEICプログラムに関連していくつかのセミナーを開催していますが、そこに大学関係の人が参加していて、企業の登壇者の方から社内での英語教育の事例をお話しいただくことがあります。その際に、企業側からは「大学でもっと、実践的な講義をしてほしい」とか、「学生の発信する力を鍛えてもらいたい」という声も出るわけです。したがって、ほんとに英語教育が4技能化に進んでいくということは、企業で歓迎されると思いますし、より実践的な英語力を備えた学生が就職してくることにつながると思うんです。