日本政治の「本丸」を変えるには

【三浦】なるほど。オープンエントリーでは、政治への関わり方が変わり、候補者にとってもこれまでのキャリアパスとは違う、新しい入り口が開かれたということですね。特に政治との接点を多様化することは重要です。従来、若い人たちの政治への接点は、選挙カーの連呼を聞くことぐらいしかありませんでした。ただ、オープンエントリーのような一部の先進的な取り組みに加えて、どうすれば日本政治の「本丸」を変えることができるのでしょうか。

【茂木】おそらくこれからは、有権者による候補者の選び方も、有権者に対する訴え方(選挙運動)も、昔とはどんどん変わっていくのだろうと思います。我々はオープンエントリー2016を「自民党のデジタル民主主義宣言」といっていますが、少なくとも今までのやり方と比べて、明らかに進歩している。社会の進化に合わせて、自民党も進化をしていくんだということです。

ダーウィン風にいえば、多様性こそが生存のための基本です。多様であれば多様であるほど、いろいろ環境が変化しても、その中で生き残っていけるんですね。そして生き残っていくものとは、強いものでも大きいものでもない。最も環境に適しているものなんです。今回の候補者選びでも、多様な人たちに応募をしてもらい、自然環境のごとく一般の人たちに選んでもらうということで、進化の法則に則った形になっていると思います。

【三浦】次の参議院選挙においては、今おっしゃった多様な人々のニーズに対して、どういった争点を打ち出していくのでしょうか。

【茂木】中国経済の減速、中東情勢の不安定化といった不安定な状況の中で、日本経済がこの3年で改善してきたことは間違いないでしょう。民主党政権時代に50万人減ってしまった雇用も、安倍政権になってから110万人増え、過度な円高が是正されたことによって、企業の収益も上がりました。収益が賃金に反映されれば、それによって消費が拡大していきます。そうした好循環が生まれつつある一方で、それが本格的な景気回復に結びつくかどうか、今がまさに正念場です。一番に重要なことは、日本の経済を立て直すということではないかと思っています。

【三浦】私も子育てをしながら働いていますが、働く女性の子育て支援政策については、具体的に何かありますか。

【茂木】政権の目標である1億総活躍社会の実現に向けて、たとえば16年度の予算で、2兆4000億円という大きな枠を設けています。その中では、たとえば出産する女性に対して国民健康保険の保険料を免除したりといったことを計画しています。

【三浦】多様性が大切であって、人が個人として輝ける社会というのは、私も非常に大事な概念だと思います。ありがとうございました。

(久保田正志=構成 市来朋久=撮影)
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