【田原】一連の騒ぎが「gumiショック」と言われていることに対して、どう受け止めていますか。
【國光】べつに法律に違反したわけでもないのに、という思いはあります。ただ、目標に達しなかったことは事実だし、株価が下がって損をした人がいたことも事実です。それらに対する責任は経営者として感じていて、まわりから言われることは仕方がないと思っています。これは結果で返していくしかない。いいゲームをつくって、世界中でヒットさせて、株価も上がって、みんなハッピーになってもらう。言葉でいろいろ説明するより、結果で見せるだけです。
【田原】凹まなかった?
【國光】凹むというか……、大河ドラマ『花燃ゆ』で吉田松陰が久坂玄瑞に「きみの志は何だね」と尋ねるところがあるのですが、そのシーンは何回も見直しました。僕の志は、エンターテインメントで世界1位になることでいいんだよなって。
【田原】従業員にはどのように説明したのですか。
【國光】みんなに集まってもらって、下方修正の原因はこれこれで、いまは大変だけど、夢は何も変わってない、だからがんばろうと話しました。
【田原】バッシングされたことで動揺した社員もいたと思うんだけど。
【國光】動揺はあったでしょうね。ただ、僕らがこれまで7年半やってきた中では、もっと厳しい場面が3回ありました。最初は月300万円の赤字で潰れかけて、次は従業員が増えていて月3000万円の赤字で潰れかけた。海外とネーティブゲームに挑戦したときは月に3億円の赤字で会社が存亡の危機に立たされました。今回はいろいろ書かれていますが、べつに会社が潰れるわけじゃない。いままで乗り越えてきたことと比べれば立ち直りやすいので、社員もそれほど不安にはなっていなかったんじゃないでしょうか。
【田原】もう1つ聞きたい。gumiショックの後、韓国の子会社で社員による横領事件が発覚しましたね。どうしてトラブルが続くんだろう?
【國光】会社って、いつも順調に成長できるほど甘いものではない。うまくいってはダメになり、そこを乗り越えて大きくなってはまたダメになるという繰り返し。だから失敗するのは、ある意味あたりまえだと思っています。大切なのは、誰よりも早く挑戦して、誰よりも早く失敗して、そして誰よりも早く復活すること。今回のトラブルも後ろ向きにとらえるのではなくて、失敗から学んで同じことを繰り返さない体制をつくり、次の挑戦につなげていきたいです。