テレビ局、総合商社も大幅なダウン

09年の企業業績悪化の影響は年収上位企業にも顕著に表れている。年収1000万円以上の企業は、景気好調時の07年は70社だったが、08年は62社に減少し、09年はさらに少ない47社にとどまっている。しかもそのうち31社は年収減となっている。

とくに下げ幅が大きいのはトップグループのテレビ・メディア業界である。主要5局の10年3月期決算はフジ・メディア・ホールディングス(HD)を除いて軒並み減収となったが、その影響が如実に表れている。2位のフジ・メディアHDにしても、フジテレビ単体では減収を余儀なくされ、124万円のダウンとなっている。

東京放送HDをはじめ朝日放送、テレビ朝日、テレビ東京HDはいずれも100万円超と大幅に落ち込んでいる。業績不振の最大の原因は収益源であるCM広告収入の大幅な減少だ。

もちろんリーマン・ショックによる景気後退で、各企業の業績悪化による広告宣伝費の削減の影響が大きいが、原因はそれだけにとどまらない。フジテレビは直近3年間の合計で600億円近い減収となる一方、日本テレビも00年以降、横ばいから減収に転じるなど広告収入の低下傾向が続いている。大きな原因の一つは、日本企業の構造的変化による広告戦略の見直しとインターネットの台頭によるテレビ広告の相対的優位性の低下である。広告宣伝費を削減する一方で、広告効果をシビアに評価し、選別をしているという実態がある。

たとえば日本テレビの06年の平均年収は1427万円だが、07年1405万円、08年1321万円と減少傾向にある。収益の最大の柱であるCM収入が落ち込むなか、各社はeコマースや動画配信事業をはじめインターネット、携帯、CSなど各種メディアを駆使した新たなビジネスモデルの創造に取り組んでいるが、今後の収益の柱となるかは未知数といえる。

同様にトップグループの総合商社も落ち込んだ。三井物産の181万円減を筆頭に各社50万円前後減少している。リーマン・ショックまでは原油高、資源高に支えられて業績好調が続き、年収も大きく伸びた。しかし、資源バブルが崩壊、10年3月期決算はいずれも減収減益に転じた。