伝統と最新テクノロジーが融合

加えて、スクラムの第一列であるフロントローと、それ以外のポジションの2種類のジャージが開発された。フロントロー用では胸の部分が立体裁断やダーツ縫いされて伸縮性が高まるようになっている。フッカーの堀江翔太(パナソニック)は「胸のあたりが立体的なつくりで、(プロップとの)バインドがやりやすくなると思います」と言う。

日本代表のジャージは2003年W杯オーストラリア大会からW杯大会ごと、素材もデザインも少しずつ変えてきた。ジャージのモデルチェンジのメリットは何かといえば、メーカー側にとってはブランドイメージのアピール、レプリカジャージなどの販売促進となる。かたや日本ラグビー協会にとっては、ジャージ製作の権利のサプライヤーへの提供と技術革新による選手へのサポートか。

上昇気流にのる日本代表。エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)は「最新のテクノロジーを使った伝統的なジャージとなった。すべて正しい準備でワールドカップを迎えたい。ここからチーム力を加速度的にアップさせて、9月19日(日本代表のW杯初戦の南アフリカ戦)では日本を代表する15人の選手がこの新ジャージを着て勝ちます」と“必勝”を宣言した。

チーム移動を利用し、ジョーンズHCほか、リーチ主将、五郎丸歩(ヤマハ発動機)らが羽田空港での記者会見に出席した。W杯の目標が初のベスト8進出。リーチも五郎丸もこう、口をそろえた。「これで歴史を変える」と。

松瀬 学(まつせ・まなぶ)●ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、同大卒業後、共同通信社に入社。運動部記者として、プロ野球、大相撲、オリンピックなどの取材を担当。96年から4年間はニューヨーク勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。日本文藝家協会会員。著書に『汚れた金メダル』(文藝春秋)、『なぜ東京五輪招致は成功したのか?』(扶桑社新書)、『一流コーチのコトバ』(プレジデント社)など多数。2015年4月より、早稲田大学大学院修士課程に在学中。

 

(松瀬 学=撮影)
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