多様な人材を採る17種類のカフェテリア採用

会社に新たな風をもたらす多様な人材を効率よく採用するには、どうすればいいか? 杉浦氏は、一つの採用フローで多様な人材を採用することは難しいと考え、求める人材像によって選考方法を分けることを考えた。

まずは、求める人材像を明確にすることから始めた。杉浦氏は、社内で活躍している社員へインタビュー調査を行った。すると彼らには、入社後に学生時代の理想と勤務後の現実との差異にショックを受ける「リアリティショック」を経験しつつも、それを前向きに乗り越える「固執しないしなやかさ」があるという共通点が見つかった。

こうして生み出されたのが冒頭のカフェテリア採用だった。15年度採用は、五種類。杉浦氏にはこんな意図があった。「例えば『ニイガタ採用』では、新潟が大好きという“貴重な人材”だけを集めることができます。『出前全員面接会』では、採用担当と連絡を取り、5人集めて会場を準備する必要があり、主体性や人を巻き込む力、調整能力のある人からの応募が期待できます」。

逆に、多くの企業が重視するコミュニケーション能力や志望動機といったものは不必要だと感じた。「コミュニケーション能力は入社後でも身につけられる能力だと考えていますし、志望動機も、会社のことをよく知らない段階で聞いても参考にならないのです」。

さらに、社内の優秀な社員の分析や求める人材像の具体的な割り出しの調査を、採用学を専門とする横浜国立大学の服部泰宏准教授やコンサルティング会社などと共同で開始。その結果を、16年度採用に反映した。