大学進学は無意味と放棄
ギノの社名は「技能」から由来し、スキルの高いプロの成長を支援する意味を込めている。片山自身も学歴や肩書きに頼らない生き方を求めて、ここまでやって来た。
1975年生まれで、ちょうど高校3年生の時にバブル崩壊を経験した。社会の混乱、企業のリストラ、終身雇用制の崩壊などを見つめながら、片山はそれまで既定路線と思っていた大学進学に疑問を抱いた。
「いい大学からいい企業へというレールが断ち切られたのを見て、大学に行くのは意味がないと思いました。ましてや受験勉強は無駄だ。もっと仕事に役立つこと、やりたいことをやろうと、進学の勉強を一切やめました」
父は公務員だが、母は芸術関係の大学出身で固定観念がない人物。学校で人生など決まらないと常々言っていた。その影響もあったのだろう。高校を卒業したものの、やることもなく、音楽活動や絵を描きながらブラブラしていた。その時期が物事をゼロから考える力を醸成する上で役に立ったと片山は言う。
バンドも組み、インディーズからCDを出したりもしたが、片山自身は演奏より作曲やプロデュースに興味があった。そのうち、仲間と考え方もズレはじめ、興味のあったウエブデザインの勉強を始めた。
片山が20歳の時、Windows95が発売され、インターネットの普及が始まった。片山はネットとパソコンで社会が大きく変わる予感がした。
98年、23歳の時に従業員20人ほどの小さなインターネットプロバイダー会社に就職した。ネットサービスからホームページづくりまでなんでも行う会社で、片山は営業から企画、デザイン、開発までなんでもこなした。そこで、経営にも興味を持ち、30代後半までに起業したいと思うようになる。
2007年、31歳になったときに、もう少し大きな組織を知りたいと、デジタルマーケティングの大手であるネットイヤーに転職。そこで、大手通信会社を担当するチームのリーダーとなった。それなりにやりがいはあったが、社会を変えるほどの仕事ではないと思った。