「我々は韃靼人の侵入を経験し、次に200年の奴隷状態を経験したわけですが、実は両方とも我々の好みにかなっているからに過ぎません。今や、自由が与えられています。そして此の自由を持ちこたえていかねばならない。しかし、われわれにそれができるでしょうか。自由も奴隷状態のように、我々の好みにぴったりくるでしょうか。そこが問題です」

ドストエフスキーの小説『未成年』の一節である。ロシアの自由は、都をモスクワからサンクトペテルブルクに移し、暴力革命的に西欧化を進めたピョートル大帝によってもたらされた。本書の主人公は、そのピョートル大帝の後、違った形でロシアを変えたエカチェリーナ大帝である。

エカチェリーナはドイツの小公国の出身で、ピョートル大帝の唯一の孫、後のピョートル三世のところに、わずか14歳で嫁いでくる。ピョートル三世は肉体的にも精神的にも虚弱で、妻の肉体にも触れなかった。母であるエリザヴェータ女帝の崩御に伴い即位するが、クーデターによりわずか6カ月で亡き者にされ、エカチェリーナが帝位につく。

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