生命保険で母親の介護費用を賄うことも
父親の保険金を母親の介護費用に充てることも可能だ。その場合は母親を受取人にして生命保険に加入しておく。
相続では、最初に父親が亡くなり、その後に母親が亡くなるケースが多い。
母親がひとりになる期間は10年以上に及ぶことも少なくないが、その間に介護が必要になった場合、父親の保険金があれば、費用を賄える。
このように生命保険には、相続対策としてさまざまな活用法があるが、基本的には終身保険を利用することになる。保険料が安いことから95~100歳満期の長期定期保険を検討するケースもあるが、平均寿命が延びている昨今、100歳以上まで長生きする可能性もあるし、死亡する年齢によっては保険料の合計が保険金を超える場合もあるので、注意が必要である。
法人契約であれば長期定期保険は保険料の一部を損金算入できるなどのメリットがあるが個人にはない。よって個人であれば、長生きしても安心な終身保険が無難だ。
終身保険に加入する場合、保険料を一時払いにする方法と平準払い(月払い、年払いなど)にする方法があるが、基本は平準払いがお勧めだ(図参照)。
加入時に保険料を一括払いする終身保険。健康状態に多少問題があっても加入できる商品もあるので、高齢になってからでも加入しやすい。しかし、保障面ではあまり期待できない。相続時の保険金の非課税枠を使いたい場合や保険金の受取人を指定して遺産争いを避けたい場合には一定の効果あり。
・平準払い終身保険
保険料を月払いや年払いなどで支払う終身保険。保障効果が大きいので、保険金で納税資金を賄うことができる。分割できる財産がない場合にも保険金を遺産分割(代償分割)にすることも可能。ただし、原則、健康でなければ加入できないので、高齢になってからの対策は難しい。50代くらいで考えるのが望ましい。
平準払いでは、保険料を徐々に支払っていくため、保障効果が大きい。少ない資金で納税資金や遺産分割資金を用意することが可能になる。
銀行等を通じて販売されている最近話題の「一時払い終身保険」は保障部分が少なく、保険的な効果はあまりない。ただし、高齢になると健康状態によって保険に加入しにくいケースも多くなる。その場合、平準払いよりも一時払いのほうが加入しやすい。保障効果は少なくても、保険金の非課税枠が使えるというメリットはある。受取人を確定させたい場合にも有効だ。