内定書は自分でつくりました
僕は高校卒業後、早稲田大学に入ったんですが、東大に入り直しました。それで東大に行ったら行ったで、今度は学校に行きたくなくなって留学をしたりインターンをしたりしていたんです。要するに自分でアクションを起こして環境を変えると、その度に1年前にはいいと感じたことが色褪せている。そんなふうにやりたいことがころころ変わるのに、20代前半で1年も前に行き先の企業を決める、ってちょっとどうかなあ、と。それって実はすごいリスクなんじゃないか、って。
それなら最初から自分で面白そうな環境――僕の場合はスタートアップに近いベンチャーを選んだほうがいいと思ったんです。その意味ではいまが2014年で良かったです。これが1990年代だったらヤバかったかもしれません。ベンチャーという選択肢がずっと少なかっただろうし、入った会社をすぐに辞めたりしていたかもしれませんから。
結局、スローガンでインターンをした後も、悩みながらふらふらしていました。海外で就職してみたらどうだろう、なんて考えて実際にインドネシアに行ったりもしました。そのときゲストハウスでネットをしていたら、ツイッターにいつものように宗像さんのブログの新着があったんです。読んでみたらインターンを募集しているということだったので、手伝わせてくださいとその場でメールを書きました。
当時のイノーバは渋谷のシェアオフィスにありました。帰国してすぐに行ってみると、みなさんがちゃんと仕事をしている中で、一人だけソファで寝ているおっさんがいる。あれじゃなかったらいいなあ、と思いながら「宗像さんいますか」と聞いたら「あそこで寝てるよ」って言われて(笑)。ブログでちゃんとした人だということは知っていたからよかったですが、最初の出会いはそんな感じでしたね。
イノーバもつい1年前は僕と彼が2人でシェアオフィスにいて、至近距離に座って仕事をしているような状態でした。それがいまはちゃんと独立したオフィスがあって、社員が20人もいるんですから、やっぱり1年後ってまったく想像できません。
何しろ最初は「社会保険はどうするんだっけ」と2人で調べたり、足りない文房具を買いに行ったりと何から何までやりました。モノも制度も何もないんです。極めつけは3月のこと、「内定書がないと親が不安になるんですけど」と聞いたら、「じゃあ、つくって」と言われましてね。だから、僕は自分の内定書を自分でつくって印刷して、親に見せたんですよ。ああ、スタートアップってこういう感じなんだな、って身に染みた思い出です。
でも、そういう働き方が自分には合っているし、何より楽しいと感じています。これだけ世の中がスピーディに変化している時代なのだから、自分の能力ややりたいことに素直に従って働くほうが面白いし、リスクも低いと思うんです。