人間関係が濃い田舎暮らしには向き不向きがあるので、都会の暮らしに慣れきった人は大都市郊外や地方中核都市に焦点を定めて物件探しをしたほうがいい。それでも十分生活コストを抑えることができる。「消費者物価指数で比べると都会と大都市郊外では1割ぐらいしか違わない。でも実生活レベルでは、私の実感だと3割ぐらい違う。大型ディスカウント店や100円ショップのような安い店がたくさんあるので上手に利用すればいいんです」(森永さん)。
精神面での充実も欠かせない。森永さんによると、「老後に生き生きと生きられる人は自分が活躍できる場、自分を必要としてくれる場を持っている人」である。「現役時代から趣味仲間をつくったり資格を取得するほうがいい。憧れだったダイビングを60代から始める人がいますが、それでは金を稼げるまでにはいかない。40代から始めていればインストラクターの資格を取得して教えることができる。年金があるのだから、そこそこ稼げればいいでしょ」(森永さん)。
楽しいことをして小遣いを稼げればいいと気楽に構えられれば幸せである。
横川由理
FPエージェンシー代表。お金の知識を広めることをライフワークとし、さまざまな講座や執筆で活躍中。著書に『老後にいくら必要か?』など。
森永卓郎
1957年生まれ。東京大学経済学部卒。日本専売公社、経済企画庁などを経て現在、獨協大学経済学部教授。『庶民は知らないデフレの真実』など著書多数。
岩崎博充
1952年生まれ。武蔵大学卒業後、雑誌編集者等を経て独立。主に経済、金融、国際問題を中心に執筆。著書に『老後破綻』『老後のお金の新常識』などがある。