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年金生活ではここを切りつめよ

一般的な現役世代の支出と、節約に取り組むリタイア世代の家計簿を比べてみよう(表参照)。食費や交通・通信費、教育費をばっさり削り、趣味やお稽古ごとに使う教養・娯楽費はほぼ手つかず。「このようにメリハリをつけて節約をすることが大切です」(横川さん)。

節約研究家でもある経済アナリストの森永卓郎さんは以下のような節約法を実践している。「冷蔵庫の扉の開け閉めを素早く行うテクニックを磨く。左手で開けたらすぐに右手を突っ込んでモノを取り出しながら左手で閉める。両手の連携が重要です。窓は二重窓にすると冷暖房効率が上がるのですが工事費が高いので、私はプチプチ(エアパッキン)を貼っています。外が見えなくなるという大きな欠点はあるのですが、電気代はかなり節約できますよ」。

生活習慣の改善方法としては「週に1日でいいから1円も使わない日をつくること。いかに自分が惰性でモノを買っていたのかが身に染みてわかります。そのうえで1日1000円の節約を自分に課す。といっても出勤途中に買うコーヒー1杯をがまんできるかどうかのレベルです。でもこれを30年間続ければ1095万円の貯蓄ができるんですよ」。

そして何よりも精神力を鍛えること。

「他人からシブチンと言われたら褒めてもらったと誇りに思うこと。シブチンと認知されればどんなケチくさいことをしても周囲に受け入れてもらえます。まずは見栄を張らない訓練から始めましょう」

生活費を圧縮すると、Aさんが90歳になったとき300万円以上の貯蓄が残ることになる。

Aさんの例では退職金が破綻を回避するための重要な役割を果たしている。住宅ローンの残債を退職金で一括返済するつもりでいる人は慎重に行動してほしい。「退職金を使って繰り上げ返済をして借金をなくすことは間違いではありませんが、できる限り現役時代から繰り上げ返済をして老後に残る借金を減らす努力をしましょう」(横川さん)。