イザという時のために覚えておくべき「第一のステップ」
3年ほど前、父親は足元が覚束なくなったこともあり、介護保険の「要支援1」の認定を受けました。その時にお世話になった社会福祉士を思い出し、連絡をとることにしました。
名刺を探し出してすぐに電話。幸運なことに、その方がいた社会福祉法人がまさに介護専門書おすすめの「地域包括支援センター」だったのです。
「地域包括支援センター」(以下、包括センター)は2006年の介護保険制度改正によって生まれた機関で、主任ケアマネージャー、社会福祉士、保健師という3職種介護のスペシャリストが常駐、介護保険の手続きや介護のアドバイス、介護サービスの仲介などをしてくれます。
介護保険料と税金を財源に市町村が運営していますが、行政が直営するのではなく、外部の医療法人や社会福祉法人に業務を委託しているケースが多いそうです。が、その時の私はそんなことも知らず、連絡したら、たまたま相談に最適の包括センターだったというわけです。
電話をすると、以前お世話になった社会福祉士は他のセンターに異動になったとのことでしたが、「すぐに替わりの者を行かせます」との返答。驚くべきことに実際1時間するかしないうちに、若い女性の社会福祉士が来てくれました。
親が倒れた親族は、気持ちの動転だけでなく、社会の世話にならなくてはならない後ろめたさや世間体の悪さから、この「まず、区役所の介護課や福祉課に電話する」といった初動に躊躇するケースが多いと聞きます。現在、まだ親が健康であっても、イザというときに、この第一ステップだけは覚えておくといいかもしれません。
その女性社会福祉士は、まず父親の状態を見て、ここに至る過程を私から聞くと、「ケアマネージャーを呼びましょう」といって20分ほどで帰りました。それがどういうことか分からない私は、彼女の後ろ姿をただ見送るだけでした。