初年度納入金を貯めておくことも大切だ。1回目の奨学金振り込みは入学後の4月。しかし初年度納入金は入学前に必要で、入試方法によっては9月のことも。奨学金では間に合わない。額は大学によって異なるが、目安は前期のみで80万円、一括なら120万円。この額の用意がなければ、別途、教育ローンを組む必要に迫られる

初年度納入金100万円を金利2.45%で借り、5年で返済すると、返済額は月1万8100円。そのぶん子どもへの仕送りや学費援助を減らすと、子どもは奨学金を増額せざるをえない。

教育ローンには、元金の返済を先延ばしできる据え置きプランもある。高3の秋に借りて10年後に完済するプランだと、大学卒業までの4年7カ月は利息分のみの月2041円、卒業後5年5カ月は月1万6443円の返済だ。ローンを組むのは親だが、据え置きプランは実質的に子どもが返済を担うケースが多い。そうなると、子どもは教育ローンと奨学金のダブルで苦しむことになる。これでは負の連鎖が強化されるだけだ。

初年度納入金を貯めておけば、1年目に借りた奨学金は2年目に回せ、2年目3年目に借りた奨学金は3年目4年目に回せるため、奨学金の貸与も3年間で済む。そうなれば返済も楽になり、孫の代の教育資金も貯めやすくなる。

初年度納入金120万円は、もちろんすぐに貯められないだろう。児童手当を使わずに貯金するなど、子どもが小さいころから長期的な視点で準備しておきたい。

(構成=村上 敬)
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