住宅購入の目安は「世帯年収の3倍」

将来への不安から住宅の購入を考える人がいますが、あまりおすすめはできません。私自身はマイホームに住んでいますが、経済的な面では賃貸のほうが有利だと思います。これから日本の人口は減少していきます。それは住宅需要の減少と同義です。住宅価格は目減りしますから、ローンが払いきれず住宅を売却したときには、最悪の場合、ローンだけが残ることもありうるでしょう。「家を買うことで本当に幸せになるのか」を熟慮すべきです。

それでも購入を考える場合には、ローンは世帯年収の3倍程度に抑えましょう。一般に世帯年収の5~6倍程度まで借りられますが、長い目で見ると金利の上昇も見込まれ、借金は抑えたほうが無難です。

子どもがいる場合には、住宅選びと学校選びが密接に関わりますが、より良い環境を真剣に探せば、教育費が安くて、安心な学校は見つかると思います。都会の私立に通わせることだけが、子どもの教育にとって唯一の選択肢ではないことを考えてみてください。

私自身は茨城県つくば市に住んでいます。市の中心部は筑波大学を中心とする「研究学園都市」で、研究者が多く居住しており、公立の中学校や高校でも、私立と遜色のない高いレベルの教育が行われています。教育費が抑えられるだけではなく、家賃や物価も都会に比べて割安です。

多額の貯蓄があっても、切り詰めた生活を続けていけば、家庭は荒むでしょう。月々の生活費を削ってまで、高額の生命保険に加入するのは本末転倒です。まずは資産形成の目的を考えることが重要でしょう。

そうした点が曖昧ならば、積極的に「自分への投資」を心がけてほしいと思います。不確実な世界経済に投資するより、確実な成長が見込める自分自身に投資するほうが、堅実ではないでしょうか。無駄な支出は抑える一方で、本を読んだり、英語を学んだり、余暇を楽しんだりする。お金に縛られるのではなく、お金を使っていく。そのほうが、より充実した人生を過ごせるのではないかと思います。