「やることリスト」はクルマのシャフト
年収1500万円以上で「優先順位は意図的に変更することがある」にあてはまる人が500万円台の人と比べて13ポイント上回っているのも興味深い。ここでのポイントは「意図的」というところだ。
目的やビジョンがなければ、意図的に判断することはできない。また、人に言われてやらされるような緊急仕事は、自分でコントロールできないものだ。つまり、「優先順位」のつけ方にはReactive(受動的)とProactive(能動的)の2種類があり、受動的な優先順位づけよりも、目的やビジョンに基づく能動的な優先順位づけをしているほうが、将来的に稼げることが読み取れる。
高年収者が能動的であることは、「人生の目的やビジョンの実現のために必要なことをリストアップする」人、「手帳やノートに、やることリストをつくる」人、「必要なことのリストは状況に応じて変えたり、やめたりする」人が、少しあてはまるを含め、すべて20ポイント前後の差をつけていることからもわかる。
夢を掲げて幸福がやってくるのを口を開けて待っているだけでは奇跡は起きない。行動を起こすことが必要だ。その第一歩となるのが「やることのリストアップ」である。夢がエンジンで、現実がタイヤだとすれば、「やることリスト」はエンジンの動力をタイヤに伝えるシャフトの役割だといえる。
やることには、やらなければならない受動的なニーズと将来の目標に基づく能動的なウォンツがある。人から言われたニーズだけをメモした「やることリスト」は単なる備忘録にすぎない。
夢の実現を目指すなら、ウォンツをよりリストアップしていくべきだ。「やることリスト」を、なりたい自分になるためのプランニングリストにしていくのである。やるべきことではなく、自分の意思でつくり上げたものなら、状況に応じて見直すことも容易になる。
仕事柄、多くのビジネスマンと会うが、手帳を持ったことがない人がいて驚くことがある。話を聞くと、工場のラインなどで定例反復的な仕事をしている人や、ひたすらパソコンに向かうだけで人と会わない人が多い。
逆に、日々変化のある仕事をしている人や、人と会う人は手帳が必要になる。年収500万円台の3人に1人が「手帳を見てスケジュールを確認する習慣がある」に「あてはまらない」「あまりあてはまらない」と回答しているが、人と会わないルーティンワークに従事しているからではないだろうか。