「思いもかけない」という災害はない
災害は、思いもかけないところで発生するのではなく、主に「起こりやすいところ」で発生する。「起こりやすいところ」がどこかという情報をまとめたのがハザードマップである。まずはハザードマップなどの資料を参考に、自分の居住地や仕事先などではどのような災害が起こりうるのかを知っておくことが重要である。
ただし、ハザードマップはあまり細かく読みすぎてはいけない。家一軒ごとの危険性の違いを表すような精度はハザードマップにはない。また、あらゆるケースを想定したハザードマップというものも存在しない。「ハザードマップで何か色が塗られているところは何らかの災害が起こりうる」と考えてよいが、「色が塗られていないところは安全なところ」とは言い切れない。
豪雨災害が起こりうるところに居住し、豪雨に見舞われた時は、さまざまな防災気象情報を集め、参考にするとよい。一般の人が豪雨災害に対して警戒するきっかけとしては、「大雨警報」になるだろう。警報は市町村単位で発表される。まずは自分のいる市町村に対して発表されているのかを確認してほしい。さらに激しい雨が降り続くと、「土砂災害警戒情報」が出される場合がある。文字通り、土砂災害が発生する危険性が高まっていることを知らせる情報だが、単なる大雨警報より激しい雨に見舞われつつあることも意味する。それぞれの地域にとって数年から十数年に1回しか発生しないくらいの1時間降水量が記録されると、「記録的短時間大雨情報」が発表される。この情報が同じ市町村内で複数回発表されるような状況になると、致命的な災害が起こることがほぼ確実となる。主な河川では、河川の水位にかかわる情報が発表されている。「はん濫警戒情報」が出されたら、河川の周辺ではなんらかの避難行動を始めた方がよい。「はん濫危険情報」という情報が出たときは、その地域の河川があふれる状況が差し迫っていることを意味する。