国内観測史上最大となるマグニチュード9.0の大地震。激しい揺れの後、最高10m以上の津波が押し寄せた。災害から身を守るためには、どうすればいいのか。第一には「逃げるが勝ち」という心構えを持つことだ。
3月11日14時46分、三陸沖で「東北地方太平洋沖地震」が起きた。地震の規模を示すマグニチュードは9.0。国内観測史上最大で、アメリカ地質調査所によれば世界でも4番目に大きい地震だった。宮城県栗原市では震度7を観測。震度7の観測は2004年の新潟県中越地震以来、7年ぶりである。
この地震では太平洋沿岸部に最高10メートル以上とみられる国内最大級の津波が押し寄せ、特に岩手・宮城・福島の各県では甚大な被害が出た。警察庁によると、死者9079人、行方不明者1万2782人(3月22日現在)。約31万人が避難生活を強いられている。日を追うごとに、被害の全容が明らかになりつつある。
さらに地震と津波の影響から、東京電力・福島第一原子力発電所が、放射能漏れ事故を起こしている。政府は、福島第一・第二原子力発電所の周辺住民に対し避難指示を発令。原発が操業停止となった影響で電力需給が逼迫。東京電力は管内で計画停電を実施している。
今回の震災は、これまでの「被害想定」を根本から覆すものだった。たとえば三陸海岸は、1896年の明治三陸地震、1933年の昭和三陸地震、そして60年のチリ地震津波と、たびたび津波の被害を受けており、それぞれの港には世界有数の防波堤がつくられていた。
釜石港の防波堤は63メートルと世界最深で、マグニチュード8.5の明治三陸地震の揺れや津波にも耐えられるとして09年に完成したばかりだった。宮古市田老には総延長1350メートル、高さ10メートルの防潮堤が備えられ、地元では「万里の長城」と呼ばれていた。しかし、そのいずれもが今回の津波で破壊された。
津波被害が甚大だった宮城県・南三陸町では、3月20日現在で約1000の遺体が見つかっているが、町民1万7600人の約半数にあたる8000人がいまだに行方不明だ。しかも庁舎全体が壊滅し、仙台法務局気仙沼支局(気仙沼市)の保存データも喪失したことから、戸籍データそのものが完全消滅した恐れもある。