――いろいろあって仕方がないから現状を維持していると。
【ちきりん】そうですね。でも、40代から30年も現状維持ってつらいでしょ。その一方で、自分のことも、社会のこともよくわかってきてる年齢なんです。40代の人は、若い人に「つらくても簡単にやめるな」とか「せっかくいい会社に入ったんだからとりあえずしがみつけ」みたいなことを言ってる暇があったら、自分の人生のことを考えたほうがいい。
――明確にやりたいことがある人は全体の1割くらいではないかとおっしゃいましたが、そういうものがない人は、まずは「いやなこと」をやめていくというのはどうでしょうか。
【ちきりん】それもありだと思います。中島義道先生の、『人生を<半分>降りる』には、よく見られたいとか、義理を欠かさないとか、そういうことを一所懸命やっていると、人生つまんなくなってしまうよと書いてあります。私たちは、「人間はこうあるべき」という価値観から解放されるために一生、戦ってるともいえる。
――最近、ブログに「人生、無駄にする10の方法」とうエントリを書かれておられましたね。あれは面白かったです。(1)やればできるとわかっていることばかりする、(2)会えばどんな話になるか、わかっているような人ばかりと会う、(3)楽しいとも思えないことを、お金や義務感や惰性のために続ける、(4)将来のために我慢する……で、最後が、「社会や政治や会社など、自分以外の誰かが問題を解決すべきである」、と一生懸命に主張する。
【ちきりん】あれはちょっと皮肉を利かせてみました。誰でも、やりたくないことはすぐ浮かびますが、何がやりたいのかはしっかり考えないと出てこない。「こういう生活ができたらいいな」と想像力を働かせてほしい。