しかし、ビリオネアの方々の利用率はミリオネアの方々と比較してそれほど高くないようです。何人かのビリオネアに理由を伺うと、「使うのはやはり抵抗がある」と。すでに行きつけのお店は決まっており、加えて1人分がタダになるというサービスに魅力を感じていないということなのでしょう。
ミリオネアとビリオネアの大きな違いの1つに、日々物事を考える時間軸のスケールがあげられます。ミリオネアの方々は、「この先自分がどこまで上がっていけるか」という個人の時間軸で考える傾向がありますが、ビリオネアの方々は、先祖というものを捉えつつ、資産や事業を駅伝の襷(たすき)のようにしっかりと次の代に渡していく、という非常に長い時間軸で物事を考えます。
ですから、子供の教育には非常に関心が高い。いってみれば親の代、生まれる前から関わっていると言ってもよく、躾などを細かい形で徹底されているご家庭も少なくありません。
自分たちのお金や事業を維持継続させるのは子供ですから、それだけ関心が高い。お金の教育に神経を注がれている方はやはり多いですね。帝王学的な事柄を教えたり、逆に一般的な家庭との金銭感覚のズレを意識して、お金を持つことが社会的にどういう影響力を持つのか、お金をどう使いこなしていくのかをしっかり教育しています。
加えて彼らは、子供に国内だけで教育を受けさせることに危機感を持っています。これは彼ら自身が国内の学歴・偏差値偏重主義とは一線を画す、海外での教育体験に依拠しているのでしょう。子息の多くは東大を目指すのではなく、中学生の時点で海外に出して勉強させています。一方、ミリオネアの方々の場合は、子供の教育以上に、たとえば中東諸国の王族や閣僚といった生徒の親どうしのネットワーク構築を図るなど、親自身のビジネスへの活用を目的とする側面もあるようです。
先日、ある大使館主催で同国のボーディングスクール(欧米の寄宿制私立中高)17~18の学校関係者がお見えになり、外資系プライベートバンクのセミナールームで説明会を開いたとき、定員約50名の部屋が親子連れで満杯となりました。今、各々のスクールには1人から2人、多い学校は10人弱もの日本人が留学しています。