「靖国史観」ではなく「受け身史観」

遊就館で示されている歴史観は、しばしば「靖国史観」と呼ばれ、日本の行動を一貫して正当化・美化しているかのように思われやすい。だが、実際はもう少し複雑な性格を帯びている。

この館を貫く基本的な歴史観は、むしろ“受け身史観”とでも呼ぶべきものだ。すなわち、日本はあくまで自国を守るために消極的に行動してきたにすぎず、その行為の多くは、外部からの圧力や脅威にたいするやむをえない対応であった──という立場である。