「年金だけでは暮らせない」と頭ではわかっても、老後資金づくりには手が回らないのが現実だ。本当のところ、あなたの老後にはいったいいくら必要なのか? 持ち家の有無、子供の年齢、リタイア時期など、シチュエーション別に徹底解説!

将来のためには老後資金の準備が必要――。わかってはいても、毎月の給料は限られている。やりくりに追われる中で、どうやって老後資金を貯めるのか?

まずは、目標となる老後資金の額をザックリ計算してみよう。この目標額は人によって違う。年金だけで暮らすなら老後資金はほとんど不要だし、多少は余裕のある暮らしをしたいのなら、それなりの額が必要になる。生命保険文化センターの意識調査によると、老夫婦に必要な1カ月の生活費は、最低限の生活で23万3000円、多少ゆとりある生活をするなら36万6000円となっている。

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図1 「わが家の目標額」を計算してみよう

計算の手順を示したのが図1だ。最初に老後の生活をイメージし、年金では毎月いくら不足するかを把握する。これを12倍したのが年間の不足額だ。余裕をみて90歳まで生きるとすれば、年金受給開始の65歳から90歳まで25年間の資金が必要になる。そこで、年間の不足額に25年を掛けて、生涯の老後の不足額を計算する。これに住宅リフォームなどの予備資金を加え、退職金や親からの遺産があればその金額をマイナスしたものが、老後資金の目標額になる。図1の計算例では、目標額は2500万円だ。なお、定年退職の60歳から年金受給開始の65歳までは、働いて生活費を稼ぐことが大前提だ。

この資金を貯めるのに秘策はない。計画を立て、時間をかけて地道にコツコツ積み上げるだけだ。給与振込口座から自動的に積み立てる方法がベスト。できるだけ早く始めて、厳しいときもストップせずに続けることが何より重要となる。

最大の壁は教育費だ。まとまった資金が必要になるたびに貯金を取り崩していては、老後資金はいつまでたっても貯まらない。そこで、資金計画は、老後資金とそれ以外の資金(教育費など)を分けて準備する必要がある。まず、老後資金はベースとなる積立額(ここでは2万5000~3万円)を決めて継続。あとは子供の年齢に合わせた3つのステージごとに、いくら貯められるか検討するといい。

(1)子供が小さい時期……出費が少ないこの時期こそ貯めどき。老後資金と教育資金のバランスをとりながら貯める。

(2)教育費が本格化する時期……家計が一番苦しいが、ここがふんばりどころ。老後資金の積み立てだけなんとか継続。

(3)子供が社会人になった後……老後資金づくりのラストスパート。教育費がいらなくなった分を老後資金に回す。