もはや懐かしい、学生が飲酒していた時代

一例として「自由の学風」で著名な京都大学を挙げよう。京都大学の文化祭は11月に行われるため通称11月祭と呼ばれ、「前夜祭」には2012年まで教員酒場という名物コンテンツがあった。教員有志の寄付により無料で酒類を提供していたのである。教員と学生が無料で酒を飲む絵づらは昭和そのものだ。この11月祭には毎年のように救急車が出動していた。理由は学生の急性アルコール中毒である。教員酒場との因果関係は定かではないが迷惑きわまりないのは事実だ。

京都の町中を走る救急車
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そういった実態が黙認されていたなか2013年に転機が訪れる。教員酒場は恒例行事とはいえ教員と学生の合同イベントであるため毎年大学側にお伺いを立てる。ところが突然「事実上の自粛を求められた」のだという(コロナ禍に先駆け自粛を要請する先進的な大学)。議論を重ねた結果、最終的に「教員が無償で酒類を提供した結果事故が生じる可能性を完全に防ぐことができない」ことを理由として翌年から「教員甘酒」になった。