「ジンギスカン作戦」という愚策

インパール作戦を立案し実行した第15軍司令官の牟田口廉也陸軍中将は、さすがにビルマからインパールまでの400キロの道のりを徒歩で進むにあたって、心もとない補給では厳しいということは自覚していました。そこで牟田口が考えたのは通称「ジンギスカン作戦」と名付けられた補給戦法です。

これは主に牛を運搬手段として活用するというもので、牛の背中に武器弾薬、食料、それにトラックや野戦砲などを分解して載せ、自動車の代わりとして活用する一方、現地インパールに着いてからは牛そのものを肉として食料にすればよいという、一石二鳥の補給構想でした。

ところが私がインド東部を訪れて分かったのは、現地の牛は人間の言うことを全く聞かない生き物であるということです。インドはヒンドゥー教が寡占的で、牛は神聖な動物とみなされています。日本の牧場でよく見る白黒の斑点からなる乳牛と違って、インド牛は奈良の鹿のように、全身が茶の色をしています。