年収800万円以上アッパー・ミドルの家計が急速に悪化している。このままだと彼らの行き着く先はいったいどこになるのか?
「妻にはパートに出てもらうことにした。しかし、どんなに日々のやりくりを切り詰めても、目標の貯蓄額をひねり出すことができない」という人がいたら、まだ手をつけていない「収入-将来のための貯蓄額-固定費=やりくり費」のなかの「固定費」に目を向けてみよう。「住宅」「自動車」「教育」が“3大コスト”になっていることがわかってくるはずだ。
まず住宅についてだが、特にアッパー・ミドル以上の人の場合、つい身の丈を超えた物件を購入してしまうようである。その象徴が首都圏の臨海部などに林立したタワーマンションだ。7000万、8000万円といった物件もザラにあった。当然、それにともなって住宅ローンの返済額は膨らみ、収入の2~3割を占めていることだって珍しいことではない。図表2を見てもわかるように30~50歳代の半数以上の人が住宅ローンを抱えている。さらに平均値とはいうものの、30、40歳代は1500万円近くものローン残高があり、家計に重くのしかかっているのだ。このまま高コストの住宅を抱えたままでいいのか、真剣に考え直す時期を迎えている。
その一方で、タワーマンションを購入するようなアッパー・ミドル以上の人たちになればなるほど好んで乗りたがるのが外車である。とはいえ、何千万円もする高級な外車を買うほど懐に余裕があるわけではなく、500万~600万円クラスの“ソコソコ”の外車を買って、自分の虚栄心を満たしている。でも、これが意外と金食い虫なのだ。
車検に出すと40万~50万円の請求書が回ってくる。ディーラーに問い合わせると、「専用の部品を本国から取り寄せなくてはならず、どうしても高くなってしまう」と、つれない答えが返ってくるだけ。それに、月々の駐車場代や任意の自動車保険料、毎年かかる自動車税などの維持費を考えていくと途方もない数字になる。10年で乗り潰すとしても、車両代と維持費を合わせると年間100万円前後の出費になるはずだ。
国産のハイブリッドカーがエコカーとして、ここ2年ほど爆発的な売れ行きを見せている。ただし、ハイブリッドシステムの分だけ車両価格は高くなる。いくら燃費がよくなっても、その分をガソリン代の節約で回収できるかというと、はなはだ疑問である。エコカーがエコなのはあくまでも環境面においてであり、家計にとってエコだとはいい切れない点には注意が必要だ。