年収800万円以上アッパー・ミドルの家計が急速に悪化している。このままだと彼らの行き着く先はいったいどこになるのか?

エア節約で疲れきったアッパー・ミドル以上の高所得者の思考能力を回復させる特効薬は何かというと、自分たちが使ったお金をきちんと記録、把握していくことである。

そういうと、すぐに家計簿を思い浮かべる人が多いはず。少し前に流行したダイエット方法に「レコーディング・ダイエット」があった。毎日小マメに自分の体重を手帳に記録することで、「少し食べすぎかな」などと意識して節制ができるようになるというもの。家計簿もそれと同じで、使いすぎを意識させ、余分な出費を抑えようとする狙いがある。

しかし、その効果は意外と低い。それというのも、あっという間にマンネリ化してしまうからだ。生まれながらにして身についた人間の習性なのか、慣れるにしたがって家計簿をつけることだけで満足するようになる。「はい、きょうの出費はこれだけね」と確認しただけで、中身についての検証や反省をすることなく、家計簿を閉じてしまうのだ。そして財布の紐は次第にユルユルになっていく。

そこで大切なのが目標を立てることだ。具体的にいうと、自分たちの老後の生活まで見通したライフプランの実現に必要なお金の額を弾き出し、それに見合うだけの目標となる毎月の貯金の額を設定する。そうすれば、否応なしに金遣いを含めた生活改善の意欲も湧く。「たまたま今月はこれだけ余ったので貯蓄に回そう」という行き当たりばったりのスタンスでは、いくらたってもお金は貯まらない。

それに、ビジネスマンなら月々の収入ははっきりしている。また、ローンの返済を含めた住宅費や保険料、通信費、光熱費などの固定費も把握しやすいだろう。そうしたら「収入-将来のための貯蓄額-固定費=やりくり費」という“家計の公式”に基づいた自分たちの解を求める。要は、このやりくり費の範囲で日々の食費や日用品費、被服費などを賄っていけば、生涯安心して暮らしていけるようになるわけだ。