【藤川】あとは成年後見とかね。裁判所に申し立てて。

【mucco】それが……手続きが大変でした。

【藤川】半年ぐらいかかりますよね。

【mucco】はい。当時は夫がすでに退職していたので、最初の1年間は成年後見監督人がつきましたが、勤めながらでは裁判所に申し立てすること自体、ハードルが高かったんです。でも、これから高齢化が進むと、我が家に似たケースがどんどん増えてくるのではないかと思っています。

【藤川】教育費も聖域ですが、親の介護も「後悔したくない」と思うことの1つですよね。子どもの人数が少ないうえに、両方の親がいるわけですからね。介護を経験する確率というのははるかに高いです。

【mucco】介護は経済的な見通しを立てて取り組むことがなにより大事だと思います。それができないから精神的にも追い詰められて悲惨な事件がおきたりもする。ご家庭によって事情が違うので、ほんとうにそれぞれ、1人1人が考えていかないといけないことですが。

【藤川】ある程度蓄えがあれば、いざそうなったときに余裕を持って接することができますよね。豊かさっていろんな、あんなことができる、こんなこともできる、というふうに解釈されがちですが、弱者に優しくなれるとか、自分が弱者になってもある程度自立した生活ができるとか、そういう側面もあるんです。

【mucco】そうですね。

【藤川】お金、お金というと、結構あまりいい顔をされないけど。

【mucco】お金の話をするのははしたないとか、品がないとか、何かそういう感覚が根強いですよね。でも、ないと生活できない、大切なものです。

【藤川】別に稼ぐとかお金を貯めるというのが自分のためだけにやるわけでもないわけだから。そういう人もいるだろうけど。