1900年前のローマ彫刻なのに、かっこよすぎる

①「ファルネーゼ・アトラス」

――開幕当初に訪れた人たちがSNSなどで「イタリア館ガチですごい」と発信し、口コミでも評判が広がりました。でも、実際の館内に入っても、一つひとつの美術品に日本語の解説が大きく展示されていないので、下手すると作品名・作者名すら分からないんです。「ビジターエクスペリエンス」というメインの展示スペースでは、まず目に飛び込んで来るのが中央にどーんと置かれた「ファルネーゼ・アトラス」。すごい重量感でした。

【ヴィズマーラ】重さが2トンありますからね。西暦150年ごろ、ローマ時代の彫刻で、所蔵するナポリの国立考古学博物館では何度も見ましたが、日本で展示されたのは初めて。こんな大きいものがよく出品されたなと驚きました。解説すると、まず「ファルネーゼ」というのは彫刻家ではなく、コレクターの名前です。アレッサンドロ・ファルネーゼという16世紀の枢機卿で芸術家のパトロン。そのファルネーゼ枢機卿が集めたギリシャ・ローマ彫刻のひとつが、この巨人アトラスなんです。