日本株市場に流入するアメリカ、中国など海外の投資マネーは、自国の投資の余剰分を日本に回すのが一般的だ。

「自国の状態がよくないから、日本までお金が回ってこないんです。日本の個人投資家が考える以上に、海外投資家にとって日本企業は魅力的なんです。短期でなく、長期投資でゆっくりやればいい」

30代の人なら日本株はお勧めです、と室井氏は言う。阪神電鉄・ライブドア株に匹敵するような大相場を期待したいものだ。

「今にして思えば、40歳くらいの頃には『会社とは心中しない。成熟期がきたら、自分自身の力で生きていきたい』と考えていました」――多摩大学統合リスクマネジメント研究所長の河村幹夫氏は、58歳で三菱商事取締役を辞し、多摩大教授として転職。現在までに多くの書籍を著し、シャーロック・ホームズ研究家としても知られている。

多摩大学 
統合リスクマネジメント研究所長 
河村幹夫氏

「三菱商事に入社したのは、『もはや戦後ではない』とする経済白書が出て2年後の58年。それ以降は、日本にとって1番幸せな時期だったと思います」

28歳でニューヨークへ赴任した際、自分の人生観と行動力で生きる米国人に感化されたという河村氏。バブル崩壊後間もない94年、会社側に辞める意思を伝えたときは、「当時はまったく理解されなかった。秘書も車もついてたし、『何が不満なんだ?』ってね(笑)」

当時の資産といえば、5000万円で購入した自宅と、株式・預貯金がそれぞれ500万円の計6000万円。

「退職は暗闇でジャンプするようなものでしたが、退職金でローンをすべてクリアにしました。子供が大学を出る頃でしたし、今のように老老介護もなかった。これらが大変なメリットになりました。好きなことをするには、借金という足枷をなくしておくのが大前提だと思います」

社会保障が期待できない今のような時代、まず大切なのは心身の健康と前向きな考え方。そして、「やっぱりお金は常に要ります」と河村氏は言う。

「定年で1億円」という高いハードルを提示したプレジデントに、河村氏は“連結経営の家庭株式会社設立”というアイデアを披露した。家計を“連結ベースの家庭株式会社”と見なすのだ。

「一言で言うと、ある目標を持って家庭を組織化するということ。目標はお金とは限りませんが、目標を立てれば、損益計算書、貸借対照表、資金繰りの計画書という“3種の神器”をつくりやすい」