将来の社会保障がアテにならない昨今、目標とすべき数字のひとつが「資産1億円」だろう。到達できた人の成功談に耳を傾けてみたい。
海外投資家にとって日本株は魅力的
もはや年金には頼れず、年収の大幅増など夢のまた夢。どうしよう。定年時に1億円あれば“安心”が手に入るんだが――そんな妄想を宝くじ抜きで現実化して、余裕の後半生に踏み出した人がいる。
「リタイア直前の数年間、日本株を売って、買い直して、また上がったら売ってを繰り返していましたが、なかなか“大台”に届かなかった。あ、9860万円だと思ったら9000万円に下がったり」
そんなうらやましいエピソードを披露する室井孝道氏(50歳・仮名)は、30年近く勤めた公務員を2009年末に早期退職し、現在は都内で不動産業を営む。
「それが何かの拍子にポーンと超えたら、1億4000万円まではすぐ。さらに2億円に届いたのはけっこう早かった」
今、すぐキャッシュにできるのは「主に外貨預金で2億何千万円」という豊富な資産を、室井氏はどう築いたのか。
学校の授業の株式売買シミュレーションをきっかけに、株式投資に目を向けた。就職直後、まず50万円を元手に市場デビュー。証券会社出身の同僚に教わったが、当初はまったく振るわなかった。
「全然儲からなくて、お金を足しては損切りの繰り返しでした」
バブル絶頂期、日経平均が3万円を超えた1989年前後でも200万~300万円程度。99年から00年のITバブルでようやく1000万円前後まで増やした。
「大きな転機は05年。タイガース優勝前の9月に阪神電鉄株を400円台でガバッと買ったら、村上ファンドの買収騒動もあって1000円以上に暴騰した。これで2000万~3000万円儲かった。同時期に280円くらいで買ったライブドア株が3倍になって1200万円の儲け。幸運にも、計4000万円以上になった」